遺伝子治療【E10A】

がんは遺伝子の病気です。
遺伝子が変異することで、細胞は傷ついてがん化します。
体にはおよそ37兆個もの細胞が集まっています。
毎日1%ほどの細胞が死に、細胞分裂によって減った細胞を補っています。
ストレス・食生活の乱れ・老化などで遺伝子情報のコピーミスがあったり、
タバコ・放射線などの刺激により遺伝子に傷が付くことがあります。
これが遺伝子の突然変異です。

遺伝子に突然変異が起こると細胞は死なくなり、分裂を繰り返します。
この「死なない細胞」が、がん細胞なのです。

傷ついた遺伝子を死滅させて、正常な遺伝子にするのが遺伝子治療です。

がん遺伝子治療+3大標準治療

手術でがんを摘出しても目に見えない「マイクロ転移」した場合、がん細胞が再発します。
全身に作用するがん遺伝子治療は、手術後の再発予防として治療効果が期待出来ます。
又抗がん剤に対して耐性が出来たがんは、治療は困難となります。
がん遺伝子治療は、元々体内にあるエンドスタチン遺伝子(直接がん細胞内に入る)なので、耐性が現れる事はありません。
放射線治療で傷ついたがん細胞に、がん遺伝子治療はがん細胞の自滅効果を高め
放射線の照射範囲から外れたがん細胞に対しても、治療(全身投与)を行います。

遺伝子治療は、世界で注目されている治療法です。最先端の情報を取り入れながら常に進化を続けています。
近い将来、がん遺伝子のすべてが解明されたら がんは怖い病気ではなくなるでしょう。
遺伝子医療はその可能性を秘めた治療法なのです。

遺伝子治療は、このような患者様にお薦め致します

手術・抗がん剤治療・放射線治療(標準治療)で治療効果が出ていない患者様

抗がん剤治療・放射線治療が、体に合わない患者様

再発が、心配な患者様

手術・抗がん剤治療・放射線治療は行ったが、不安である。
再発の可能性があります。

手術をしても、既にがん細胞 (細胞レベルで画像診断では写らない) が転移している可能があります。

抗がん剤治療も薬剤耐性が出来て、効かなくなる事があります。
(がん遺伝子治療では、遺伝子が直接がん細胞に入る為に、薬剤耐性は起りません) 

再発すると治る可能性は、低くなります。
抗がん剤治療後の再発率は、約50~60%程だと言われています。





がん遺伝子治療の優れている所・がん化した細胞を根治する
治療法

  1. いつでも、すぐに治療(外来治療 30分余り、入院の必要はない)が受けられます。

  2. 全てのがんは、遺伝子の変異が原因です。その遺伝子を直して正常な遺伝子にする治療法です。 (遺伝子治療は、変異を起こした細胞のみに作用します、正常細胞には影響のない副作用の非常に少ない治療です)

  3. 抗がん剤や放射線治療では、がんを小さく出来ますが、ゼロには出来ません。子供のがん細胞は、消滅させますが、分裂しないがん細胞の親玉である 「がん幹細胞」 は生き残り、子供のがん細胞を爆発的に作ります。これが再発です。 遺伝子治療は 「がん幹細胞」 の消滅に治療効果を上げています。

  4. 手術・抗がん剤治療・放射線治療(標準治療)の弱点を補い、他治療を妨げないがん遺伝子治療を行うと免疫療法(相性が良い)も含めて 併用療法は、相乗効果が出て治療効果を高めます。
    ※併用療法=殺傷方法の仕方が、違う治療を組み合わせることで、
       がんの治療効果が相乗的に高くなります。

  5. がんの種類(変異した遺伝子を直接攻撃する為、がんの種類は関係ありません)。病期(ステージ)・転移・再発・前がん状態(がん予防)に関係なく、 副作用が少なく、苦痛のない点滴治療が主です。

  6. 再発された患者様・末期の患者様にも治療が出来て 、治療効果が期待出来ます。

  7. 全身に作用する。微少な転移や、微細ながん細胞からの転移の恐れのある手術後の 「再発予防」 (血液、リンパ液から全身の細胞に広がる為)にも有効です。


遺伝子治療 E10A 治療説明

  1. がんは、新生血管(腫瘍血管)を自ら作り、栄養や酸素を供給して、腫瘍を大きくして(進行がん)行き、転移も起こします。
    【新生血管がなければ、がん組織は1~2mm以上になりません。その後 壊死します】
  2. 点滴で エンドスタチン遺伝子(1カプセル内に1兆個 1クール:6カプセル= 6兆個)が、がん細胞内に入り「エンドスタチン タンパク質」になる。
    【エンドスタチン タンパク質は、体内にある物質なので、毒性・副作用はありません】
  3. エンドスタチン タンパク質が、 新生血管を抑止、壊死させます。 いわゆる 「兵糧攻め」 でがん細胞を消滅させます。虚血によるがん細胞の大量消滅です。
  4. 治療スケジュール
       ・治療に同意されると、数日後から治療開始が出来ます。
       ・1クール6本投与を6週間で行う
          治療回数・投与スケジュール等は、病状により異なります。
  5. 治療方法
  6. 点滴(30分余り、全身投与) と 腫瘍内に直接投与 (局注 30~40分) があります。



遺伝子治療 E10A 治療効果

遺伝子治療 E10A の有効性の検証を行った。合計91名の患者様が臨床試験に参加されました。 選択基準:標準治療(手術・化学療法・放射線治療)で治療効果が、出ていない患者様


複合治療(E10A+化学療法)と化学療法単独の評価結果
CR PR (CP+PR) SD PD
複合治療群 E10A+化学療法 3.4% 48.3% (51.7%) 31.0% 17.3%
コントロール群 化学治療単独 3.3% 23.3% (26.7%) 40% 33.4%

※CR・PR・SD・PDの意味は、治療効果をご参照ください。




有効治療率


治療効果

91症例の遺伝子製剤(E10A) は、A判定の治療有効率は、51.7%【CR 3.4%+PR 48.3%】
   CR (Complete Response 完全寛解) 腫瘍が完全に消失した状態
   PR (Pertial Response 部分寛解) 腫瘍の大きさの和(縦+横)が、30%以上減少した状態
   SD (stable disease 延命効果) 腫瘍の大きさが、変化しない状態、長期不変
   PD (Progressive disease 無効) 治療に関係なく、進行した状態

※91症例の対象疾患(12種):肺がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、すい臓がん、食道がん、乳がん、子宮がん、前立腺がん、咽頭がん、口腔がん、舌がん

※91症例の病期(ステージ分類) 3期~4期の患者様
   3期:腫瘍が比較的大きく、隣接する臓器に転移した進行がん
   4期:腫瘍が、離れている臓器まで転移(遠隔転移)した状態の末期がん





抗がん遺伝子導入療法

がんは、身体の設計図であるDNAが悪性変化し、その誤ったDNA情報を基にがん細胞が生まれ、増殖し続けた産物であるということは、いまや世界の科学者の間で周知の事実として認識されています。





「遺伝子治療の臨床使用」

国内外の数万人のがん患者様の治療をしております。

消化管腫瘍
肝臓がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、大腸がん、 胆管がん

呼吸器系腫瘍
肺がん、咽頭がん、鼻咽頭がん

口腔顎顔面腫瘍
舌がん、唇がん、下咽頭がん、歯肉がん、頬がん、 上顎洞がん、顎下腺がん、口底がん、耳下腺がん

女性悪性腫瘍
乳がん、子宮頚がん、卵巣がん

男性生殖器系腫瘍
前立腺がん

泌尿器系腫瘍
膀胱がん、腎臓がん

軟部腫瘍
脂肪肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、アク性繊維性組織球種

悪性湯出液
胸水、腹水

中枢神経系腫瘍
神経膠腫、神経芽細胞種、皮膚腫瘍、悪性黒色腫、扁平上皮がん

5年生存率

がんのステージ(病期) 分類 1期・2期・3 期・4 期
1期・2期:早期がん(転移がない)
3 期:進行がん(隣接臓器に転移)
4 期:他臓器に遠隔転移する(末期がん)
5年生存率:1期 90%、2期・3 期 50%、4 期 12%

早期の発見、治療が重要である。



遠隔転移のある方の10年生存率

遠隔転移がん:最初に発生した腫瘍から離れた臓器・リンパ節への転移が認められたがん。遠隔転移があると手術や抗がん剤などの治療では、治すのが難しくなます。多くは、抗がん剤で進行を抑制したり痛みを和らげる緩和ケアに移ります。


*限局:がんが最初に発現した部位
*遠隔:他部位へ転移した場合
【男性】10年生存率 部位 【女性】10年生存率
限局 遠隔 遠隔 限局
97.00% 21.30% 甲状腺 30.40% 99.20%
96.20% 3.70% 2.60% 95.20%
95.90% 10.40% 結腸 7.30% 94.50%
93.20% 3.20% 皮膚 6.60% 96.20%
91.40% 7.30% 直腸 7.40% 92.40%
89.60% 5.00% 膀胱 4.50% 83.90%
86.30% 4.40% 腎・尿路 6.20% 86.90%
68.50% 4.80% 口腔・咽頭 8.40% 71.90%
58.40% 1.70% 3.10% 79.00%
51.40% 2.20% 食道 4.00% 61.90%
50.00% 1.50% 胆嚢・胆管 0.30% 51.00%
22.80% 1.20% 膵臓 1.10% 24.60%
15.00% 0.60% 肝臓 0.30% 13.30%
97.70% 22.70% 前立腺 - -
- - 乳房 14.70% 93.70%
- - 子宮体部 17.40% 91.50%
- - 子宮頚部 7.10% 91.10%
- - 卵巣 11.60% 85.5

【男性】10年生存率

部位 限局 遠隔
前立腺 97.7% 22.7%
甲状腺 97.0% 21.3%
96.2% 3.7%
結腸 95.9% 10.4%
皮膚 93.2% 3.2%
直腸 91.4% 7.3%
膀胱 89.6% 5.0%
腎・尿路 86.3% 4.4%
口腔・咽頭 68.5% 4.8%
58.4% 1.7%
食道 51.4% 2.2%
胆嚢・胆管 50.0% 1.5%
膵臓 22.8% 1.2%
肝臓 15.0% 0.6%

【女性】10年生存率

部位 限局 遠隔
甲状腺 99.2% 30.4%
乳房 93.7% 14.7%
子宮体部 91.5% 17.4%
子宮頚部 91.1% 7.1%
卵巣 85.5% 11.6%
95.2% 2.6%
結腸 94.5% 7.3%
皮膚 96.2% 6.6%
直腸 92.4% 7.4%
膀胱 83.9% 4.5%
腎・尿路 86.9% 6.2%
口腔・咽頭 71.9% 8.4%
79.0% 3.1%
食道 61.9% 4.0%
胆嚢・胆管 51.0% 0.3%
膵臓 24.6% 1.1%
肝臓 13.3% 0.3%

がんは、DNA変異病である。

  1. がんは、正常なDNAが何かの理由で後天的に突然変異して発生する病気。
  2. がん遺伝子治療は、治療用の正常なDNAを投入し、変異した患者のDNAに代わって働かせるものです。なお、親から受け継がれた自分自身のDNAを変化させることはありません。

がん遺伝子治療・E10A (下方イラスト図の説明)

血管新生

がんには、元々血管が備わっていません。がん細胞は、栄養や酸素を得るために、自ら血管を引き込もうとします。(図1)
これが血管新生と呼ばれる現象です。がん細胞は大きくなるのが早く、多量の栄養や酸素を必要としますから、この血管新生がなければ、がん細胞は死滅します。



転移の抑制

血管新生には、がんの成長以外にもう1つの重要な意味があります。それは転移です。
がんが遠く離れた 場所へ移動するためには、周囲から血管を引き込んでその中に潜り込み、血液の流れに乗る必要があります(図2)。
血管新生を阻害することは、転移の抑制に働きます。

新生血管を作りなさいと指令している物質の代表格は、VEGF(血管内皮成長因子)と呼ばれるものです。 遺伝子治療で、VEGFの発現を抑制して血管新生を阻害します。

遺伝子治療E10Aは、①血管新生阻害に働く作用 ②がんの縮小に直接働く作用 
両面を兼ね備えています。






日本で実施が承認されている遺伝子治療臨床研究一覧


国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部掲載内容